Letter 双方向性の合成プロモーターをもつレンチウイルスベクターによる協調的二重遺伝子導入 2005年1月1日 Nature Biotechnology 23, 1 doi: 10.1038/nbt1049 同一細胞に複数の遺伝子を導入すれば、形質導入細胞は遺伝子の修正、標識化、選抜、および条件的な除去を行うことができ、多サブユニットの構成要素および相乗的に作用する経路の再構成が可能となる。しかし、現在の遺伝子導入技術ではこれを確実に行うことができない。細胞のプロモーターには分岐転写を行わせる性質をもつものがあるという知見に基づき、本研究では2種類のmRNAの協調的な転写を遍在的または組織特異的に媒介する双方向性の合成プロモーターを開発した。新たなプロモーターが組み込まれたレンチウイルスベクターによって、直接投与または遺伝子導入後の複数のin vivo組織およびヒトの遺伝子治療モデルで、効率的な二重遺伝子組み換えが実現した。共通のプロモーターから転写されると考えられる分岐遺伝子の組み合わせはゲノム上に多く存在していることから、今回開発した合成プロモーターは転写のひとつの典型例を模倣したものとなっている可能性がある。このプロモーターが組み込まれたベクターによって、遺伝子機能の研究が促進されるものと考えられ、遺伝子治療は適用範囲が拡大して安全性が向上することが期待される。 Full text PDF 目次へ戻る