Letter 完全に標的を改めた殺腫瘍麻疹ウイルスの回収および伝播 2005年2月1日 Nature Biotechnology 23, 2 doi: 10.1038/nbt1060 弱毒化した生麻疹ウイルスEdmonston株(MV-Edm)は強力な抗腫瘍活性をもっているが、本来の受容体であるCD46およびSLAMが広範囲に分布しているため完全に腫瘍特異的であるわけではない。このことから本研究では、単鎖抗体断片を提示することによって完全に標的を改めたウイルスの回収および伝播を可能とする擬似受容体システムを開発した。腫瘍選択的なCD38、上皮成長因子受容体(EGFR)またはEGFR変異体vIII(EGFRvIII)に標的を改めたウイルスは、それぞれが標的とする受容体を介してin vitroおよびin vivoで効率的に細胞内に侵入したが、CD46およびSLAMを介しての侵入はみられなかった。ヒトのCD38またはEGFRが陽性のヒト腫瘍異種移植を施したマウスで腫瘍内または静脈内に投与すると、各ウイルスは特異的な受容体を介した抗腫瘍活性を示した。今回のデータから、標的を改めた殺腫瘍ウイルスによって抗体を介した腫瘍の破壊が生ずることがin vivoで示された。 Full text PDF 目次へ戻る