Letter
プロビタミンA含量向上によるゴールデンライスの栄養価の強化
Nature Biotechnology 23, 4 doi: 10.1038/fake53
「ゴールデンライス」は、β-カロテン(プロビタミンA)の生産によってビタミンA欠乏に対処する目的で遺伝子工学的に作り出されたイネであり、β-カロテン含量がさらに増大すればビタミンA欠乏症の緩和効果が大幅に向上するものと予想されている。我々は、ゴールデンライスの開発に用いられた二遺伝子の一方であるラッパズイセンのフィトエン生成酵素遺伝子(psy)がβ-カロテン蓄積の律速段階であるという仮説を立てた。ほかの植物のpsyを体系的に試験することによって、トウモロコシのpsyがモデル植物系でカロテノイド蓄積量を大幅に増大させることが確認された。そこでこのpsyを、初代ゴールデンライスの作製に用いられたErwinia uredovoraのカロテン不飽和化酵素(crtI)とともに導入し、「ゴールデンライス2」を開発した。総カロテノイド量は初代ゴールデンライスの23倍(最大37 μg/g)にのぼり、β-カロテンの優先的蓄積が認められた。