Article 乳房内黄色ブドウ球菌感染に抵抗性をもつ遺伝子強化ウシ 2005年4月1日 Nature Biotechnology 23, 4 doi: 10.1038/nbt1078 乳腺炎は乳牛にとって最も重大な疾患であり、米国の乳業界が被る損失は年間数十億ドルにのぼる。遺伝子組換えによる動物防疫の可能性を試験する目的で、リソスタフィンを乳汁中に濃度0.9〜14 mg/mlで分泌する組換えウシを作製した。in vitroの分析では、この乳汁が黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusを殺菌する作用をもつことが示された。組換えウシ3頭および非組換えウシ10頭の乳房内にS. aureusを注入すると、感染の指標である乳体細胞数増加、体温上昇および急性期タンパク質誘導は非組換えウシすべてに観察されたが、組換えウシには認められなかった。S. aureusによる乳腺炎の防疫作用は、わずか3 mg/mlという乳汁中リソスタフィン濃度で得られると考えられる。この結果から、遺伝子組換えが疾患に対する抵抗性を高めるための現実的な手段となり、家畜の健康が増進される可能性のあることが示された。 Full text PDF 目次へ戻る