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樹状細胞の機能および腫瘍の免疫療法に対してAkt1が担う重要な役割
Nature Biotechnology 24, 12 doi: 10.1038/nbt1262
ex vivoで分化および成熟を行う現行の樹状細胞(DC)ワクチン製造法では、生成するDCが短命で活性も一時的であるため、in vivoでT細胞の応答が制限される場合がある。我々は、炎症誘発性シグナルによるDCの生存および成熟にAkt1(下方制御するとDCの寿命が短縮する)がきわめて重要であることを確認した。Akt1はリポ多糖類またはCD40のシグナル伝達で安定化し、DCを活性化させるとともにBcl-2に依存する生存率を向上させた。脂質ラフトを標的とするAkt1であるMF-ΔAktをコードする強力な対立遺伝子の発現は、マウス骨髄由来DCをin vivoで成熟および生存させるのに十分であった。MF-ΔAktを形質導入したDCでは、T細胞の増殖、活性化、および長期記憶応答が促進され、すでに存在する大きなリンパ腫および侵襲性B16黒色腫の根絶が可能となった。構成的に活性をもつMF-ΔhAktを発現するヒト骨髄由来DCも寿命が大幅に延長し、抗原特異的なT細胞の応答が促進された。したがって、Akt1はDCの寿命に関する重要な調節因子であり、DCのAkt1を操作すれば、DCを利用する腫瘍ワクチンの臨床効果が向上する可能性がある。