Review

ペプチドやポリケチドなどの抗生物質に対する分子工学的アプローチ

Nature Biotechnology 24, 12 doi: 10.1038/nbt1265

新しい抗生物質を作り出すための分子工学的アプローチは約25年にわたって発展してきた。近年、抗生物質遺伝子クラスターのクローン化と解析、Escherichia coliの生合成経路の操作、操作した生合成経路を発現する宿主細胞のE. coliからStreptomycesへの転換、およびクローン化した遺伝子の安定的な維持と発現に技術革新がみられ、抗生物質の生産工程は合理化されてきた。ポリケチド生成酵素、非リボソーム型のペプチド合成酵素、糖転移酵素などの酵素による分子集合の機構および基質特異性に関する理解も進展し、分子工学のデザインおよび生成物は予測可能性が向上した。医薬品化学では容易に合成されなかった複雑な分子骨格(バンコマイシン(バンコシン)、ダプトマイシン(キュービシン)、エリスロマイシンなど)も、いまや分子工学によって与しやすいものとなってきた。合成される抗生物質の特性は医薬品化学でさらに変化させることができ、両分野は相補的なものとなっている。

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