Review

新規の感染症治療戦略としての抗菌性宿主防御ペプチド

Nature Biotechnology 24, 12 doi: 10.1038/nbt1267

抗菌や免疫調節の作用をもつ短いカチオン性両親媒性ペプチドは、(先天性)免疫防御の重要な一要素として、ほぼすべての生命体に存在している。このような宿主防御ペプチドは、2種類の抗菌薬の鋳型となっている。直接作用性の抗菌性宿主防御ペプチドは作用が迅速かつ強力であり、作用スペクトルがきわめて広い。このため、これまでは臨床試験で局所薬としての有効性しか示されていないものの、新規抗菌物質として期待されている。しかし、この化合物にかけられた治療への期待を実現させて臨床上の障害を排除するには、作用機序を理解し、不必要に毒性が生ずる危険性を抑制し、タンパク質分解酵素による分解に対する抵抗性を向上させ、血清中半減期を延長させる研究が、安定的かつ低コストで大量生産する手段の開発とともに必要である。一方、カチオン性宿主防御ペプチドは、先天性免疫応答を調節し、感染症に対処する免疫を強化しつつ、有害性のある炎症性(敗血性)応答を抑制する働きにより、細菌感染症に対する全く新しい治療法となる可能性がある。

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