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治療法としての可能性を秘める羊膜幹細胞の分離

Nature Biotechnology 25, 1 doi: 10.1038/nbt1274

幹細胞には多様な系統に分化する能力があり、治療に有用であると考えられる。我々は、胚性および成体幹細胞マーカーを発現するヒトおよび齧歯類の幹(AFS)細胞を羊水から分離した。未分化AFS細胞は、支持細胞不在下でよく増殖して36時間で倍加し、腫瘍形成性を示さない。250回以上にわたる倍加を経て維持された細胞株が、長いテロメアおよび正常な核型を保っていた。AFS細胞は概して複能性である。レトロウイルスのマーキングで確認されたヒトクローン細胞株では、脂肪生成、骨形成、筋原性、内皮、ニューロン、および肝臓の細胞など、各胚葉を代表する細胞型への分化が誘導された。ヒトAFS細胞から生じて特定の機能を示す分化細胞には、神経伝達物質L【スモールキャピタル】-グルタミン酸塩を分泌するニューロン系細胞またはGタンパク質作動性内向き整流性カリウムチャンネルを発現するニューロン系細胞、尿素を生成する肝臓系細胞、および組織培養骨を形成する骨形成系細胞などがある。

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