Article 複可変領域型免疫グロブリンによる複数の疾患伝達物質の同時標的化 2007年11月7日 Nature Biotechnology 25, 11 doi: 10.1038/nbt1345 複数の伝達物質が総合的病因に単独または重複したメカニズムで寄与する複雑な疾患では、単一の標的を阻害するよりも複数の標的を同時に遮断する方が治療法として有効と考えられる。しかし、併用療法として2種類のモノクローナル抗体を臨床開発することは、規制の障害およびコストのために非現実的である。抗体を利用して多特異的分子が検討されてきたが、臨床使用は薬物動態、安定性、および製造可能性が低いために進展してこなかった。本論文では特異性を二重にもつ4価の免疫グロブリンG(IgG)様分子の一般的に応用可能なモデルを紹介する。複可変領域型免疫グロブリン(DVD-Ig)と命名したこの分子は、任意の2種類のモノクローナル抗体から作製可能であり、元の抗体の活性を保持している。この分子は哺乳動物細胞での効率的生産が可能であり、物理化学的および薬物動態的に優れた特性を示した。動物疾患モデルを用いたDVD-Igタンパク質の前臨床試験では、人間の疾病の治療に応用可能と考えられることがわかった。 Full text PDF 目次へ戻る