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ヒトAML幹細胞は抗がん剤耐性を示し、骨髄の骨内膜領域に存在する

Nature Biotechnology 25, 11 doi: 10.1038/nbt1350

急性骨髄性白血病(AML)は成人で最も頻度の高い白血病で、ごく少数の白血病性幹細胞(LS細胞)から発生する未熟な骨髄芽球のクローン性増殖を特徴とする疾患である。ヒトLS細胞の機能を理解するため、我々は、重症複合免疫不全(SCID)マウスにサイトカインγcの完全無発現変異を加えたNOD/SCID/IL 2rγnull新生仔マウスを用いてヒトAML異種移植モデルを作製した。このモデルにより、LS細胞がマウス体内で選択的にAMLの病態を再現し、自己複製能を維持することを実証した。このLS細胞は、骨髄の骨芽細胞が多い部位に存在および生着しており、その部位ではAML細胞が化学療法によるアポトーシスに陥りにくいことがわかった。ヒトLS細胞の静止状態は、細胞周期依存的な化学療法に対する耐性の基礎をなすメカニズムである可能性がある。網羅的転写プロファイル解析により、ヒトLS細胞特異的でマウスに連続移植しても安定して転写される遺伝子が同定された。今回の結果は、LS細胞を標的とする新規治療戦略の開発にこのAML異種移植モデルが有用と考えられることを示している。

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