Letter レンチウイルスベクターを用いた栄養芽細胞特異的な遺伝子導入による胎盤異常の治療と胚性致死からの回復 2007年2月1日 Nature Biotechnology 25, 2 doi: 10.1038/nbt1280 胎盤の機能不全は多くの妊娠合併症の原因となっており、胎盤形成時の遺伝子機能の理解を深めることは臨床的にきわめて重要と考えられる。しかし、容易な胎盤特異的遺伝子操作法が存在しないため、胎盤形成の研究および胎盤機能不全の治療は進展していない。我々は以前、マウスの受精卵をレンチウイルスベクターに感染させると胎仔と胎盤の双方で導入遺伝子が発現することを明らかにした。本論文では、透明帯を除去したマウスの胚盤胞をレンチウイルスベクターに感染させると胎盤のみに遺伝子が導入されることを示す。分析した胎盤はすべて遺伝子が導入されていたが、胎仔への遺伝子導入は認められなかった。この方法を利用することにより、Ets2、Mapk14(別名p38α)およびMapk1(別名Erk2)が欠損しているマウスを、胎盤異常による胚性致死から救うことができた。胎盤形成時のMapk14の欠損はMapk11の異所発現でも補完された。 Full text PDF 目次へ戻る