Article 万能赤血球を生産する細菌由来グリコシダーゼ 2007年4月1日 Nature Biotechnology 25, 4 doi: 10.1038/nbt1298 ABO式血液型抗原の酵素的な除去による万能赤血球の開発という先見的構想が最初に提唱されてから25年以上が経過している。この方法の実現可能性はB型赤血球に関して臨床試験で証明されたが、この技術の臨床利用には効率の高いグリコシダーゼが存在しないことが大きな障害となっている。本論文では、遺伝子組換え酵素の消費量を抑えながら中性pHでAおよびB抗原を効率的に除去する酵素を供給するふたつの細菌由来グリコシダーゼ遺伝子ファミリーを紹介する。α-N-アセチルガラクトサミニダーゼファミリーに属する酵素の結晶構造から、NAD+が関与する独特の触媒メカニズムが明らかにされた。本論文に示す酵素的転換過程は、臨床での輸血の安全性を高めながら血液の需給を改善する万能赤血球の生産という目標の達成に有望である。 Full text PDF 目次へ戻る