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シロイヌナズナでは葉緑体光呼吸の回避が光合成およびバイオマス産生を亢進させる

Nature Biotechnology 25, 5 doi: 10.1038/nbt1299

大腸菌グリコール酸分解経路をシロイヌナズナ葉緑体に導入し、光合成で必ず発生する副産物のホスホグリコール酸をC3植物が光呼吸で再利用するときに生ずる固定炭素および窒素の損失を減少させた。葉緑体を指向する細菌のグリコール酸デヒドロゲナーゼ、グリオキシル酸カルボリガーゼ、およびタルトロンセミアルデヒドレダクターゼの5遺伝子で段階的に核を形質転換することにより、葉緑体のグリコール酸をグリセリン酸に直接変換する植物が作製された。これにより、ペルオキシソームおよびミトコンドリアを介した光呼吸代謝物の流れは抑制されたが、これが遮断されることはなかった。組換え植物は生長速度が上昇し、シュートおよび根のバイオマスが増加し、可溶性糖の含有量が増大した。これは、リブロース1,5-二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ近傍の葉緑体CO2濃度の上昇と相関する光呼吸の抑制および光合成の亢進を反映している。こうした作用は、グリコール酸デヒドロゲナーゼの3サブユニットを過剰発現させたときに確認されたが、細菌のグリコール酸分解経路全体を導入することで強化された。葉緑体グリコール酸の光呼吸を回避させることにより、C3光合成を行う作物の生産性は改善される可能性がある。

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