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ROCK阻害薬は分散したヒト胚性幹細胞の生存を可能にする
Nature Biotechnology 25, 6 doi: 10.1038/nbt1310
ヒト胚性幹(hES)細胞は、単一細胞に分散した後の生存率が低いことが研究の障害となっており、サブクローニングなどの操作が困難である。本論文では、選択的Rhoキナーゼ(ROCK)阻害薬Y-27632をhES細胞に与えると、分散で誘発されるアポトーシスが激減し、クローニング効率が向上し(約1%から約27%)、遺伝子導入後のサブクローニングが容易になることを示す。さらに、Y-27632で処理した分散hES細胞は、無血清浮遊(SFEB)培養でもアポトーシスから保護され、浮遊凝集塊を形成する。Y-27632の細胞保護活性により、SFEB培養マウスES細胞と同様にSFEB培養hES細胞を生存させ、Bf1+皮質および基底終脳前駆細胞に分化させることが可能であることが裏づけられた。