Review ナノ細孔配列解読法の可能性と課題 2008年10月1日 Nature Biotechnology 26, 10 doi: 10.1038/nbt.1495 ナノ細孔を利用する装置は、電気泳動でナノスケールの細孔に溶液中の分子を通すことにより、単一分子を検出および分析することができる。ナノ細孔は高度な閉鎖空間であり、さまざまな方法からひとつを用いて単一の核酸高分子を高処理能で解析することができる。また、細孔ならではの理想的な処理性により、ポリヌクレオチドの核酸塩基の本来の順序が、検出シグナルの配列に確実に反映される。キロ塩基長の高分子(一本鎖ゲノムDNAまたはRNA)または低分子(ヌクレオシドなど)が増幅も標識もせずに同定および解析されるという分析能力は他に類をみず、低コストで高速のDNA配列解読を可能としている。DNA鎖中でつながったヌクレオチドの一つひとつをナノ細孔で同定する上での現在の課題の克服に向けて研究開発を重ねることにより、二倍体哺乳動物ゲノムの配列を約24時間、1000米ドル(約11万円)程度で解読する「第三世代」装置の展望が開かれる。 Full text PDF 目次へ戻る