Perspective システム生物学への研究分野的取り組みによる酵母の統一的な代謝ネットワーク再構築 2008年10月1日 Nature Biotechnology 26, 10 doi: 10.1038/nbt1492 代謝ネットワークの再構築物は、ゲノムデータを用いて手動または半自動で大規模に組み上げることができ、高度に管理された生物特異的な知識基盤をもたらす。Saccharomyces cerevisiaeの代謝を表すゲノム規模のネットワーク再構築物は複数存在するが、範囲および内容が異なり、同一の化学物質に別の用語が用いられている。このためその対比は困難であり、酵母代謝の「研究分野的知識」を収集および定型化する統合的な代謝ネットワークが強く望まれる。本論文に示すのは、我々が完成させたS. cerevisiaeの統一的な代謝ネットワーク再構築物である。設計過程では、化学構造が自動的に導き出される方法で明確に表現されるようにするため、分子を永続的なデータベースに結びつけ、SMILESやInChI stringsなど、データベースに依存しない形式を用いることを特に重視した。再構築物は、公開データベースからシステム生物学マークアップ言語の形で容易に入手可能である(http://www.comp-sys-bio.org/yeastnet)。これは、酵母のシステム生物学を研究するための一般的標準となる資源として維持することができる。この種の方法は、ほかの生物の代謝ネットワークをゲノム規模で研究する分野に有用と考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る