Article 抗血管新生作用および抗がん作用を有する経口投与型の低分子製剤 2008年7月8日 Nature Biotechnology 26, 7 doi: 10.1038/nbt1415 血管新生を標的とすることは、重要ながん治療法のひとつである。フマギリン類似化合物であるTNP-470は、きわめて強力で広域の血管新生阻害薬である。しかし、経口での利用能が低く半減期が短いという大きな臨床的制約があり、高頻度で連続的な非経口投与が必要である。我々はその問題の解決に取り組み、本論文に示すTNP-470経口製剤をロダミン(Lodamin)と命名した。TNP-470は、モノメトキシポリエチレングリコール−ポリ乳酸に結合させ、ナノポリマーミセルを形成させた。このコンジュゲートは腸で吸収され、腫瘍内に選択的に蓄積する。ロダミンは腫瘍の増殖を著明に阻害したが、担がんマウスの神経に障害を生ずることはなかった。経口投与によって最初に肝臓に到達するため、マウスでは特に肝転移予防に有効である。ロダミンは、がん治療用または転移予防用に長期投与が可能な無毒の経口抗血管新生剤であることが示された。 Full text PDF 目次へ戻る