Article 後生動物である植物寄生性線虫Meloidogyne incognitaのゲノム配列 2008年8月1日 Nature Biotechnology 26, 8 doi: 10.1038/nbt.1482 植物寄生性線虫は、世界中でみられる重大な農業病害虫であり、新たな防除法が求められている。本論文では、トマト、綿花、コーヒーなど多くの作物の生物栄養性寄生生物であるネコブセンチュウMeloidogyne incognitaのゲノムドラフト配列を示す。無性生殖を行うこの線虫のアセンブリ配列(合計86 Mb)の大部分は、相同的でありながら相異なる断片の対として存在している。これは、M. incognitaの古代の対立遺伝子領域が、効果的な半数性に向かって進化しつつあり、これによって新たな適応メカニズムが可能となることを示唆している。M. incognitaがもつ植物細胞壁分解酵素の数および多様性は、ゲノム配列が入手可能なあらゆる動物のなかで例をみないものであるが、これは、細菌を起源とする多発的な遺伝子水平伝播に由来している可能性がある。今回の結果により、免疫性をもつ植物への寄生を成功させるために後生動物が必要とする適応に関する洞察が得られ、新たな抗寄生虫戦略発見への道が開かれた。 Full text PDF 目次へ戻る