Analysis

ヒトの組織特異的代謝をネットワークに基づいて予測する

Nature Biotechnology 26, 9 doi: 10.1038/nbt.1487

哺乳類の代謝をin vivoで直接研究することは、組織ごとに代謝機能が異なるため困難である。本論文では、ヒト代謝の組織特異性をコンピュータで大規模に解き明かす方法を紹介する。遺伝子およびタンパク質の組織特異的な発現データを、大規模なヒト代謝ネットワークの既存の網羅的再構築法と組み合わせることで、10種類のヒト組織に関して組織特異的な代謝活性を予測した。その結果、組織特異的な代謝活性プロファイルの形成で転写後調節が担っている中心的な役割が明らかにされた。代謝性疾患の原因遺伝子に予測される組織特異性、および体液との代謝物交換の組織特異的な差は、酵素発現データにみられる組織特異的な差を大きく上回り、組織特異性データの大規模マイニングによって検証された。今回の結果は、コンピュータを用いて正常および異常なヒト代謝を組織特異的にゲノム規模で研究するための基盤を確立するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度