Letter TGFβ阻害によるヒト胚性幹細胞由来内皮細胞の増殖および維持はId1依存的である 2010年2月1日 Nature Biotechnology 28, 2 doi: 10.1038/nbt.1605 従来は、ヒト胚性幹細胞(hESC)を内皮細胞に分化させようとしても、血管細胞の持続的な増殖および安定性が得られなかった。血管形成の発生経路を明らかにして分化を促進するため、我々は、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現させる内皮細胞特異的なVEカドヘリンプロモーター(hVPr-GFP)を用い、血管の運命決定を促進する因子をスクリーニングした。本方法の第1段階では、分化7日目にトランスフォーミング増殖因子(TGF)βを阻害し、hVPr-GPF+細胞を10倍に増殖させる。第2段階では、TGFβの阻害により、精製した内皮細胞が増殖を維持し、血管以外の細胞に変化しない。その結果、均一な単層中で内皮細胞が正味36倍に増殖し、Id1highVEGFR2highVEカドヘリン+エフリンB2+の転写特性が示された。Id1-YFP hESCレポーター株を用い、我々は、TGFβの阻害がhESC由来内皮細胞のId1発現を維持し、Id1が増殖の進展および内皮細胞の運命決定の維持に必要であることを明らかにした。本方式は、臨床応用が可能な規模でhESC由来内皮細胞を分化させて長期間維持するための無血清法をもたらす。 Full text PDF 目次へ戻る