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出生直後のSMN送達による脊髄性筋萎縮症マウスモデルの表現型の改善

Nature Biotechnology 28, 3 doi: 10.1038/nbt.1610

小児が罹患する最も多い常染色体劣性神経変性疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)では、運動ニューロンの機能に障害が生ずる。生存運動ニューロン(SMN)タンパク質量の減少が発症と関連していることは知られているが、SMNを増加させる取り組みは患者の治療につながっていない。我々は最近、自己相補型アデノ随伴ウイルス9型(scAAV9)をマウス新生仔の静脈内に注入すると、運動ニューロンの約60%で感染が生ずることを明らかにした。今回、scAAV9による出生後1日目の血管内遺伝子送達により、SMA新生仔のSMNが置換され、運動機能、神経筋の生理、および寿命の改善をみた。出生後5日目での処置では、ある程度の効果が認められたものの、出生後10日目での処置ではほとんど効果がなく、scAAV9治療の効果が最大となる発生期間の存在が示唆された。また、カニクイザル新生仔への注射で、scAAV9による運動ニューロンの形質導入が広汎に認められたことは注目に値する。このように、scAAV9が非ヒト霊長類の血液脳関門を越えることがわかったことで、SMAに対するscAAV9遺伝子治療の臨床的可能性が明らかにされた。

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