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植物パターン認識受容体の科間転移で広域の細菌抵抗性が付与される

Nature Biotechnology 28, 4 doi: 10.1038/nbt.1613

植物の病害は、農業に多大な損失をもたらす。植物の天然の防御能力を増強すれば、農業の生産性に対する植物病原体の影響は低下すると考えられる。パターン認識受容体(PRR)は、保存された病原体関連分子パターン(PAMP)を認識することによって微生物を検出する。PAMPが引き起こす免疫は、植物の防御に関する総合的な重要性が明らかにされているが、作物への病害抵抗性付与には未だ利用されていない。我々は、植物の2つの科の間で転移させてもPRRが活性を保持することを明らかにした。アブラナ科のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のPRRであるEFRをナス科のベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)およびトマト( Solanum lycopersicum)で発現させると、細菌の伸長因子Tuに対する応答性が付与され、さまざまな属の植物病原性細菌に対する抵抗性が亢進した。管理された実験室条件で得られた今回の結果は、PAMP認識システムの異種発現によって重要な病原性細菌に対する広域の病害抵抗性を生み出し、圃場での抵抗性の耐久性および持続可能性を高めることができる可能性を示唆している。

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