Letter 人工回路によるマウスの尿酸恒常性の自己充足的制御 2010年4月1日 Nature Biotechnology 28, 4 doi: 10.1038/nbt.1617 合成生物学では、哺乳動物細胞の代謝挙動が、後生的スイッチおよびヒステリシススイッチ、タイマー、振動子、バイオコンピューター、ホルモン系、および異種代謝分路のような遺伝子装置によって操作可能であることが示されている。こうした装置の治療戦略への活用の可能性を探るため、血流の尿酸恒常性を維持する哺乳動物の人工回路を設計した。尿酸恒常性の障害は、腫瘍崩壊症候群および通風と関連している。この人工装置を構成する改変型Deinococcus radiodurans由来のタンパク質は、尿酸濃度を感知して、分泌されるように改変した黄色コウジ菌Aspergillus flavus由来の尿酸酸化酵素の濃度依存的な抑制解除を引き起こし、尿酸を除去する。急性高尿酸血症を発症する尿酸酸化酵素欠損マウスでは、人工回路によって血中尿酸濃度が病的でない安定したレベルまで濃度依存的に低下し、腎臓での尿酸結晶の蓄積量が減少した。病的代謝物の自己充足的制御をもたらす人工遺伝子ネットワーク装置は、遺伝子および細胞を利用する将来の治療法の進歩を促進する分子的人工器官である。 Full text PDF 目次へ戻る