Article ウイルスの遺伝的バーコード化と高処理能 塩基配列解読とを併用したin vivoでの 単一造血幹細胞の追跡 2011年10月1日 Nature Biotechnology 29, 10 doi: 10.1038/nbt.1977 多くの研究分野、特に幹細胞およびがん生物学分野では、細胞の不均質性の解明が課題となっている。本論文では、ウイルスの遺伝的バーコード化と高処理能塩基配列解読とを併用し、不均質な集団中で単一細胞を追跡する方法を示す。我々は、この方法を用いて、in vivoで単一の造血幹細胞(HSC)の分化を追跡した。その結果は単一細胞移植研究の結果と一致していたが、必要とされるマウスの数は2桁少なかった。この方法は、高処理能であるうえに高感度であるため、HSCのような低密度の細胞集団のクローナリティーを直接評価することができる。我々は、こうした能力が、HSC分化過程のクローンの全体像をどのように提示するかを示した。特に、我々のデータは、放射線照射を経て移植されたHSCの血液細胞への寄与が一様ではなく、放射線照射後の同一レシピエントマウスに2通りのHSC分化パターンが共存することを示唆している。この方法は、in vitroおよびin vivoのいずれの過程でも、ウイルスが使用可能なあらゆる種類の細胞に利用することができる。 Full text PDF 目次へ戻る