Letter 選択的エキソソームの全身投与によるマウス脳へのsiRNAの送達 2011年4月1日 Nature Biotechnology 29, 4 doi: 10.1038/nbt.1807 RNA薬の治療可能性を実現するには、組織特異的で免疫原性を持たない効率的な送達技術の開発が必要である。本論文では、RNAおよびタンパク質を輸送する外来性ナノ粒子であるエキソソームにより、低分子干渉(si)RNAがマウス脳に送達されることを示す。免疫原性を抑制するため、エキソソーム生産には自己由来の樹状細胞を用いた。選択性を得るため、ニューロン特異的なRVGペプチドを融合させたエキソソーム膜タンパク質Lamp2bを発現するように樹状細胞を改変した。精製後のエキソソームに外来性siRNAを電気穿孔で装填した。静脈内に注入されたRVG選択的エキソソームは、脳内のニューロン、ミクログリア、オリゴデンドロサイトにGAPDH siRNAを特異的に送達し、特定の遺伝子をノックダウンした。前もってRVGエキソソームに暴露してもノックダウンは抑制されず、他の組織への非特異的な取り込みも観察されなかった。エキソソームを利用したsiRNA送達の治療可能性は、アルツハイマー病の治療標的であるBACE1の野生型マウスでのmRNA(60%)およびタンパク質(62%)の強力なノックダウンによって示された。 Full text PDF 目次へ戻る