Article 平滑筋細胞に覆われた耐久性および血管反応性をもつ微小血管が血管新生で形成される間の線維芽細胞増殖因子9の供給 2011年5月1日 Nature Biotechnology 29, 5 doi: 10.1038/nbt.1845 血管新生促進因子による治療はこれまで実現していない。これは、内皮発芽形成しても筋肉化して血管反応性を持つ動脈にならないためと考えられる。我々は、マイクロアレイ発現解析を利用して、ヒト血管の平滑筋細胞(SMC)が階層的な索状構造を形成するときに、線維芽細胞増殖因子9(FGF9)の発現量が大幅に増大することを発見した。FGF9は、移植組織と混合したり虚血マウス後肢に投与したりしても血管新生作用を示さないが、SMCによる新生血管の被覆を調整した。移植組織でのSMCによる被覆は、ソニック・ヘッジホッグが仲介するPDGFRβの発現増加によって誘導された。コンピューター断層撮影による微小血管撮影法および生体顕微鏡法から、FGF9の存在下で形成された微小血管は血流を受け止める力が強化されており、血管反応性を持つことが明らかにされた。さらに、この血管は1年以上持続し、末梢神経と対をなす多層的な動脈を再構築した。この生理学的能力の成熟が内皮細胞ではなく間葉細胞を標的化することによって得られるという知見は、治療を目的とする血管新生および組織工学の戦略の本質と考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る