Article CD24-SiglecG相互作用のシアリダーゼによる妨害の阻害による敗血症の改善 2011年5月1日 Nature Biotechnology 29, 5 doi: 10.1038/nbt.1846 炎症の抑制は、多くの感染症の効果的な治療に不可欠である。しかし、敗血症による死亡率が高いことは、敗血症の炎症性後遺症の基盤を深く理解し、その新しい治療法を開発することの必要性を示している。マウスでは、宿主の損傷関連分子パターン(DAMP)に対する炎症反応がCD24とSiglecG(ヒトではSIGLEC10)の相互作用によって抑制されるが、微生物病原体関連分子パターン(PAMP)に対する炎症反応は抑制されない。本論文では、敗血症の腸管穿孔モデルを用いて、微生物のシアリダーゼが、SiglecG/10によるシアル酸を介したCD24の認識を標的とすることで炎症を悪化させることを示す。シアリダーゼ阻害剤は、CD24とSiglecgの両方が関わる機構によってマウスの敗血症を防ぐが、いずれかの遺伝子に変異があると敗血症は悪化する。シアリダーゼ欠損細菌変異体の解析から、シアル酸を介したパターン認識の妨害が微生物の毒性に大きく寄与していることが確認され、感染による炎症の抑制を目的とするシアリダーゼ阻害に臨床的な可能性があることが支持される。 Full text PDF 目次へ戻る