Perspective ヒト多能性幹細胞の移植可能な星状グリアサブタイプへの指定 2011年6月1日 Nature Biotechnology 29, 6 doi: 10.1038/nbt.1877 ヒト多能性幹細胞(hPSC)から神経細胞への分化は効率よく行われている。しかし、hPSCから星状細胞および星状グリアサブタイプへの定向分化はいまだに確立されていない。本研究では、大量のhPSCが、ほぼ均質な未成熟星状細胞集団(90%超がS100β+およびGFAP+)に運命づけられた。このヒト未成熟星状細胞は、初代培養星状細胞と類似した遺伝子発現パターンを持ち、グルタミン酸の取り込みおよびシナプス形成の促進などの機能的特性を示し、マウス脳内への移植後に血管との接続を形成することによって成熟星状細胞となる。さらに、hPSC由来の神経上皮は、ニューロンのサブタイプの指定に用いられるのと同じモルフォゲンで吻尾軸および背腹軸の細胞にパターン化され、異なるホメオドメイン転写因子を発現する未成熟星状細胞を生じ、種々の星状グリアサブタイプの表現型の差を示す。このヒト星状グリア前駆細胞および未成熟星状細胞は、脳の発生および機能に関する星状細胞の研究、疾病の過程で星状グリアが果たす役割の解明、ならびに神経疾患の新たな治療法の開発に役立つと考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る