Article 疾患の進行に関わるアノテーションされて いない長い遺伝子間非コードRNA PCAT-1が 前立腺がんコホートのトランスクリプトーム 配列解読で明らかにされる 2011年8月1日 Nature Biotechnology 29, 8 doi: 10.1038/nbt.1914 非コードRNA(ncRNA)は、疾患の新規マーカーとなったり、腫瘍生物学の未知の部分を明らかにしたりする可能性があり、ヒトのがんにとって重要な分子となってきている。我々は、102点の前立腺組織および細胞株に由来するpolyA+ RNAの高処理能配列解読(RNA-Seq)のリードを最初から組み立てることにより、アノテーションされていない前立腺がん関連ncRNA転写物(PCAT)121個を発見した。PCAT-1というncRNAは前立腺特異的な細胞増殖調節因子であることが明らかにされ、これがポリコーム抑制複合体2(PRC2)の標的であることがわかった。さらに、PCAT-1およびPRC2の発現パターンは、PCAT-1が抑制する標的遺伝子の発現特性で区別される分子サブタイプに患者の組織を層別することが発見された。こうしたことから、PCAT-1は一部の前立腺がん患者に関係する転写抑制因子であることが示唆される。今回の発見は、がんのサブタイプの層別を改良する可能性のある疾患関連ncRNAの同定にRNA-Seqが有用であることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る