Perspective

生きた細胞および組織のリガンド受容体相互作用の直接同定

Nature Biotechnology 30, 10 doi: 10.1038/nbt.2354

細胞反応の多くは、細胞表面の受容体に結合するタンパク質、薬物、または病原体によって引き起こされるが、あるリガンドがどの受容体に結合するのかを特定することは困難な場合がある。本論文では、アミノ基を含むリガンドと結合する部分、生細胞の糖鎖付加受容体と結合する部分、および定量的質量分析法による同定に用いる受容体ペプチドを精製するためのビオチンタグという3つの部分を有するケモプロテオミクス分子TRICEPSを紹介する。我々は、リガンドに基づくこの受容体捕捉(LRC)法を、インスリン、トランスフェリン、アペリン、上皮成長因子、治療用抗体トラスツズマブ、およびErbB2を標的とする2種類のDARPinを用いて検証した。その一部では、受容体のおおよそのリガンド結合部位を特定することもできた。TRICEPSで完全な成熟ワクシニアウイルスを標識することにより、細胞表面タンパク質AXL、M6PR、DAG1、CSPG4、およびCDH13がヒト細胞の結合因子であることが明らかにされた。この方法は、各種リガンドの受容体を、生理的状態に近い条件で遺伝子操作を行わずに同定することを可能とするものである。

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