Perspective
さまざまな組織の異所性移植部位としてのマウスリンパ節
Nature Biotechnology 30, 10 doi: 10.1038/nbt.2379
細胞を用いる治療は臓器移植の有力な代替法と見なされているが、臓器修復を目的とする細胞移植が常に可能とはかぎらない。本論文では、マウスリンパ節が各種組織由来の正常細胞の生着および増殖を支援する能力を有することを示す。致死的代謝性肝障害マウスのリンパ節の1つに肝細胞を直接注入すると、そのマウスの生存に十分な量の異所性肝組織が形成された。さらに、無胸腺ヌードマウスのリンパ節の1つに胸腺組織を移植すると、同種異系および異種移植片を拒絶する能力を有する機能的な免疫系が形成された。加えて、糖尿病マウスの複数のリンパ節に膵島細胞を注入すると、正常なグルコース調節が回復した。今回の結果を総合すると、細胞移植治療でリンパ節を標的とすることは、組織および臓器の機能の回復、維持、または改善のための実用的な方法であることが示唆される。