Perspective
細菌のグリコシダーゼが可能にしたマンノース6リン酸修飾によって酵母で生産した組み換えヒトリソソーム酵素の細胞への取り込みが改善された
Nature Biotechnology 30, 12 doi: 10.1038/nbt.2427
リソソーム蓄積症の治療には哺乳動物細胞で生産されたヒトリソソーム酵素が用いられる。そのような酵素治療薬では、患者の細胞のリソソームに酵素を送達するために必要なマンノース6リン酸の含有量が比較的低レベルである。本論文では、酵母で生産したリソソーム酵素のマンノース6リン酸修飾を増加させる方法を紹介する。我々は、酵母型のマンノース-マンノース6リン酸で修飾されたNグリカンのマンノースを除去してマンノース6リン酸で置換された哺乳類型のNグリカンを生ずるグリコシダーゼをC. cellulansから得た。このグリコシダーゼの結晶構造を明らかにすることにより、基質特異性に関する情報が得られた。我々はこの脱マンノース酵素をαマンノシダーゼと併用し、マンノース6リン酸の多いある種のポンペ病酵素αグルコシダーゼを酵母で生産した。現在治療に用いられている酵素と比較すると、このαグルコシダーゼは、ポンペ病患者の線維芽細胞への取り込み効率が高く、ポンペ病マウスモデルで心筋のグリコーゲン貯蔵量を効果的に減少させた。