Perspective

脳炎誘発性ペプチドに覆われた微小粒子はT細胞寛容を誘導して実験的自己免疫性脳脊髄炎を改善する

Nature Biotechnology 30, 12 doi: 10.1038/nbt.2434

T細胞の異常な活性化は多くの自己免疫疾患の原因となっているが、T細胞寛容を誘導する取り組みには失敗に終わっているものが多い。本論文では、アポトーシス残渣の天然の排除メカニズムを利用して寛容性を誘導するというこれまでの戦略に基づき、抗原を付着させた微小粒子(直径500 nm)が実験的自己免疫性脳脊髄炎再発マウスで長期的なT細胞寛容を誘導することを示す。具体的には、脳炎誘発性ペプチドに覆われたポリスチレンまたは生分解性ポリ(ラクチド-co-グリコリド)微小粒子の静脈内投与によって発症が抑制され、進行が緩徐化した。そうした有益な効果には、スカベンジャー受容体MARCOを発現する辺縁帯マクロファージによる微小粒子の取り込みが必要であり、調節性T細胞の活性、T細胞の不完全な活性化、およびT細胞アネルギーによって仲介されている部分がある。以上のデータを総合すると、微小粒子でアポトーシスの天然の排除経路を標的として病原性T細胞を不活性化させ、自己免疫の疾病過程を停止させることができる可能性が浮かび上がる。

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