Article ヒト血管平滑筋サブタイプを作製して 発生学的起源に依存する疾患の感受性に 関する知見を得る 2012年2月1日 Nature Biotechnology 30, 2 doi: 10.1038/nbt.2107 発生学的起源の不均質性は、血管の平滑筋細胞(SMC)の特質であり、血管疾患の発病に影響を及ぼしている可能性がある。ヒト多能性幹細胞(hPSC)の発生起源特異的なSMCサブタイプへの分化は、依然として実現が困難である。今回我々は、初期にhPSCを誘導して神経外胚葉、側板中胚葉、または沿軸中胚葉を形成させる化学的組成が明らかなプロトコルを紹介する。この中間的な集団は、さらにSMC(80%超がMYH11+およびACTA2+)に分化し、in vivoで血管収縮薬に反応して収縮能を示し、血管周辺部を取り巻いた。誘導されたSMCサブタイプは、起源の異なる大動脈SMCを用いた研究が過去に明らかにしたサイトカインに対する特有の増殖および分泌反応を再現した。特に、このシステムでは、側板中胚葉から誘導されたSMCによる細胞外マトリックス分解の強化が予測され、これは対応する起源に由来するラット大動脈SMCで確認された。本研究の分化の方法は、起源に依存する疾患の感受性のモデル化および再生医療用人工血管の開発に広く応用されると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る