Letter 抗体薬物結合体のin vivoでの安定性 および治療活性を結合部位が調節する 2012年2月1日 Nature Biotechnology 30, 2 doi: 10.1038/nbt.2108 システイン中の反応性チオールは、抗体結合体の生成でマレイミドリンカーの連結に用いられている。その結合部位の影響を評価するため、治療用のHER2/neu抗体内で溶媒露出度および局所荷電が異なる部位3か所にシステイン残基を導入した。溶媒露出度の高い部位では、結合していたチオール反応性リンカーが短時間で血漿中に失われた。これは、アルブミン、遊離システイン、またはグルタチオンの反応性チオールとのマレイミド交換が生じたためである。対照的に、露出が不完全で正に荷電した環境を有する部位では、リンカー中のスクシンイミド環の加水分解が促進され、この交換反応が阻害された。溶媒露出が不完全で中性荷電を有する部位では、両方の性質が認められた。マウス乳がんモデルでは、抗体結合体の安定性および治療活性が、スクシンイミド環の加水分解から正の影響を受け、血漿中のチオール反応性成分とのマレイミド交換から負の影響を受けた。このように、結合部位の化学力学および構造力学は、抗体とリンカーとの界面の安定性を調節することにより、抗体結合体の性能を左右することができる。 Full text PDF 目次へ戻る