Perspective 天然アンチセンス転写物のin vivo阻害による遺伝子特異的な転写の上方制御 2012年5月1日 Nature Biotechnology 30, 5 doi: 10.1038/nbt.2158 遺伝子をin vivoで特異的に上方制御することに対する治療面の期待は大きい。本論文では、1本鎖オリゴヌクレオチドまたはsiRNAによって天然のアンチセンス転写物(NAT)を阻害または分解すると、一時的かつ可逆的に遺伝子座特異的な遺伝子発現が上方制御されることを明らかにする。脳由来神経栄養因子(BDNF)は、保存された非コードアンチセンスRNA転写物BDNF-ASによって抑制されているのが正常な状態である。in vitroおよびin vivoのどちらでも、この転写物を阻害すると、BDNF mRNAが2~7倍上方制御され、BDNF座のクロマチン標識が変化し、タンパク質レベルが上昇して神経の成長および分化が誘発される。また、NATを阻害することによってグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)およびエフリン受容体B2(EPHB2)のmRNAが増加することもわかった。我々のデータは、NATを標的とする薬理学的方法によって遺伝子座特異的な遺伝子の上方制御作用が得られることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る