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多能性細胞由来の初期前駆細胞
Nature Biotechnology 30, 6 doi: 10.1038/nbt.2274-2
ヒト多能性幹細胞(hPSC)はさまざまな種類の細胞に転換されているが、そのとき用いられる分化方法の多くでは数週間から数か月に及ぶ細胞培養が必要となっている。Drukker、Weissman、Soen ら は、hPSC 分 化の ご く 初 期 に 発 生 す る 細 胞 を 調 べ、3 つ のhPSC 集団(大部分の細胞を未分化状態に保つ馴化培地中の hPSC、後方胚盤葉上層の発生を促進する BMP4 を含む培地中の hPSC、神経外胚葉の発生を促進するレチノイン酸を含む培地中の hPSC)を比較した。研究チームは、細胞を 3 日間培養した後、モノクローナル抗体 408 個と蛍光活性化細胞選別法を用いて、新たに生じた前駆細胞の集団を探索した。それにより、再現性のある特徴的な集団が複数同定され、遺伝子発現解析およびマウスの発生との比較によってさらに特性解析を行った結果、その集団が 4 つの前駆細胞系譜(原始内胚葉、中胚葉、血管内皮、栄養膜)に対応していることがわかった。こうした前駆細胞集団とそれに関連する細胞表面マーカーは、 ヒ ト 発 生 の 初 期 段 階 の in vitro 研 究 やhPSC 分化法の最適化に有用と考えられる。