Review

がんの一細胞から詳細な表現型まで

Nature Biotechnology 30, 7 doi: 10.1038/nbt.2283

ここ数年の一細胞測定系の主要な進歩には、細胞内ネットワーク活動の測定を可能とする高処理能化されたフローサイトメトリーの導入、さまざまな細胞マーカーの追跡を可能とする同位体標識の登場、単一生細胞内のRNA発現の測定を可能とする超高分解能顕微鏡法の開発などがある。こうした技術は、がん細胞集団につきものの多様性を総括して整理するのに有用と考えられる。その進歩と並行して、詳細なデータ群を掘り起こす新たな電算技術が、データの形状の可視化を加速し、意味のある出力の抽出を可能にしつつある。そうした応用は、幹細胞の機能、腫瘍開始細胞、多系統腫瘍発生の交点で、がんの生物学的性質に関する新たな洞察をもたらす可能性がある。それは臨床の場でも、新たな診断法の開発のみならず、さまざまな変異を有する腫瘍細胞クローンの出現が患者に再発または疾患進行をもたらす機序の解明でも、重要になると考えられる。

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