Review 腫瘍ウイルス療法 2012年7月1日 Nature Biotechnology 30, 7 doi: 10.1038/nbt.2287 腫瘍ウイルス療法は、複製能を有するウイルスを利用してがんを破壊する新しい治療法である。最近の進歩には、単回ウイルス療法による治癒の実現可能性の前臨床的証明、腫瘍内のウイルス増殖を加速させる薬物の同定、腫瘍破壊性ウイルスの免疫療法的な作用を最大化する戦略、ならびに血管内送達および腫瘍内ウイルス複製できわめて重要となるウイルス血症的な閾値の臨床での確認などがある。臨床での主要な画期的出来事は、転移性黒色腫にタリモゲン ラヘルパレプベック(talimogene laherparepvec)を使用する腫瘍内単純ヘルペスウイルス療法の第III相試験の治験登録が完了したことである。この分野の大きな課題としては、急増する腫瘍破壊プラットフォームおよび遺伝子組み換えウイルスの中から「勝者」を選択すること、免疫系の力を一時的に抑制してから元に戻すことでウイルスの拡散と抗がん免疫とを同時に最大化すること、さらに大きな意味のある前臨床ウイルス療法モデルを開発すること、ならびに現在と比較して桁違いに高い収率でウイルスを製造することが挙げられる。 Full text PDF 目次へ戻る