Letter 生体模倣的な推進力を備える組織工学的に作製されたクラゲ 2012年8月1日 Nature Biotechnology 30, 8 doi: 10.1038/nbt.2269 生物の形態および機能のリバースエンジニアリングには、複数の空間的および時間的秩序にわたる階層的な設計が必要である。生合成化合物材料の機械論的理解、分子合成生物学でのコンピューターによる設計法、および従来のソフトロボティクスが近年進展し、細胞の自己組織化を促す構造的、化学的な微小環境の生成に関する理解力が向上したことにより、人工的な生物システムでそのような階層構造を再現することができるようになっている。今回、系統的な設計戦略の中でそうした能力を組み合わせることにより、筋肉ポンプのリバースエンジニアリングを行った。我々は、概念を実証するものとして、化学的に解離させたラット組織およびシリコン重合体から自由に遊泳するクラゲを作製した。「メデュソイド」と命名したこの人工クラゲの設計にはコンピューターシミュレーションおよび実験を用い、構造設計、ストロークの運動学的性質、および動物と流体との相互作用を量的に模倣することによって、クラゲの推進および摂餌行動の重要な決定要素を調和させた。この工学設計アルゴリズムと生理的能力の量的基準との組み合わせは、我々の戦略が、筋肉器官、または生存に必要なポンプを備えた単純な生命体のリバースエンジニアリングに広く応用可能であることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る