Perspective
細菌の付着に耐性を有するポリマーのコンビナトリアル探索
Nature Biotechnology 30, 9 doi: 10.1038/nbt.2316
細菌の付着およびその後のバイオフィルム形成は、医療機器の最適な機能に大きな問題を生じている。本研究では、高処理能マイクロアレイ形式で、数百種類のポリマー材料への特定細菌種の付着を評価した。この方法により、病原性細菌(緑膿菌、黄色ブドウ球菌、および大腸菌)の付着を大幅に減少させる物質群が同定されたが、それはエステル基および環状炭化水素基を有する構造的に類似したものであった。発見された物質でシリコーンを被覆すると、in vitroでは、市販の銀ヒドロゲル被覆と比較して、細菌で覆われる表面積が30分の1(3.3%)に低下し、in vivoでは、同じ物質による被覆がマウス移植感染モデルでの細菌付着の抑制に有効であった。今回のポリマーは、細菌と表面との相互作用に関する現時点の理解からはこの特性を有することを予測することができないような細菌付着抑制性物質群である。