Perspective

ポリエチレンイミンはウイルス糖タンパク質抗原の強力な粘膜アジュバントである

Nature Biotechnology 30, 9 doi: 10.1038/nbt.2344

経粘膜感染の防御には、病原体侵入部位での免疫が必要と考えられるが、ヒトへの使用が承認された粘膜アジュバント製剤はいまだ存在しない。ポリエチレンイミン(PEI)は、in vitroの核酸トランスフェクション試薬およびin vivoのDNAワクチン輸送媒体として使用される有機ポリカチオン群である。本論文では、各種PEIが、ウイルスサブユニットの糖タンパク質抗原に関して強力な粘膜アジュバント活性を有することを示す。インフルエンザ赤血球凝集素または単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)糖タンパク質DをPEIとともに単回鼻腔内投与すると、本来であれば致死的な感染からの抗体を介する強力な防御が生じ、その作用は既存の実験的な粘膜アジュバントをしのぐものであった。PEIは抗原とナノスケールの複合体を形成し、それはin vitroおよびin vivoで抗原提示細胞に取り込まれた。さらにPEIは、流入領域リンパ節への樹状細胞の輸送を促進し、非炎症促進性サイトカイン反応を誘導した。PEIのアジュバント作用には、Irf3依存性シグナル伝達を誘起する宿主二本鎖DNAの放出が必要であった。このように、PEIはヒトに使用するための粘膜アジュバントとして研究を進展させる価値があるものである。

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