Perspective

植物のリン代謝を操作して施肥と雑草防除との兼用法を得る

Nature Biotechnology 30, 9 doi: 10.1038/nbt.2346

作物の高収量は、オルトリン酸塩(PO4−3)を基本とする肥料および除草剤の継続的な投入に依存している。農業は、リンが再生不能資源であること、および雑草が広範な除草剤抵抗性を獲得していること、という2つの重大な問題を抱えている。その問題を同時に克服する方法の1つは、限られた資源で雑草および微生物に打ち勝つように植物を改変し、肥料および除草剤の必要量をともに抑制することである。植物および大部分の微生物は亜リン酸塩(PO3−3)を代謝することができないため、我々は、亜リン酸塩を唯一のリン源として利用することのできる遺伝子組み換え植物を作製することにより、施肥と雑草防除との兼用法を開発した。温室条件下では、その遺伝子組み換え植物に亜リン酸塩肥料を与えると、同じ植物にオルトリン酸塩肥料を用いた場合と同等の生産性を得るのに必要なリン投入量が30~50%減少し、雑草との競争では、オルトリン酸塩肥料を用いた場合と比較して、2~10倍のバイオマスが蓄積された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度