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コンビナトリアル法による耐細菌性材料の探索
Nature Biotechnology 30, 9 doi: 10.1038/nbt.2365-1
カテーテルや人工心臓弁、人工関節などの医療機器に伴う細菌感染は、疾患という大きな負荷を生ずる。そのため、細菌の付着、およびその後のバイオフィルムの形成と増殖を抑制する材料を用いて細菌感染を防ぐことが、介入方法として注目を集めている。Alexanderらは、高処理能マイクロアレイ法で数百種類のポリマー材料をスクリーニングし、細菌の付着と増殖を抑制する材料を見つけ出す方法を発表した。この方法により、エステル基と環状炭化水素基を有する構造的に類似した新材料群が被覆表面に対する病原性細菌(緑膿菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌)の付着を大幅に抑制することが発見された。発見された材料でシリコーンカテーテルを被覆してマウス感染モデルの実験に用いたところ、市販の銀ヒドロゲル被覆をしのぐ性能を示し、この材料の臨床応用可能性が明らかにされた。