Computational Biology
分子ネットワークから推定された遺伝子オントロジー
Nature Biotechnology 31, 1 doi: 10.1038/nbt.2463
タームおよびその相互関係の階層構造という形で知識を得るうえで、オントロジーはきわめて有用なものとなっている。生物学的知識が不完全であるとともに、その知識を手作業でキュレーションする方法に一貫性がないことから、遺伝子機能に関するオントロジーの構築は生物学の大きな課題となっている。本論文では、酵母Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子・タンパク質相互作用の大規模なネットワークを用いることにより、手動キュレーションによるジーンオントロジー(GO)に匹敵する適応範囲および威力を持つオントロジーが推定されることを示す。ネットワークによって抽出されたこのオントロジー(NeXO)には4,123個の生物学的タームおよび5,766組のターム関係が含まれ、既知の細胞成分の58%が捕捉されている。さらに、もともとはGOに組み込まれていなかった確実なNeXOタームおよびターム関係を検討した結果、分析に基づいて複数が追加された。定量的遺伝子相互作用プロファイル解析およびケモゲノミクスにより、NeXOで発見された未知のタームの多くがさらに裏付けられ、その中にはタンパク質輸送やミトコンドリア機能に関連する多サブユニット構造も含まれていた。この研究により、オントロジーを利用したデータ評価から、データを利用したオントロジーの構築および評価への移行が可能となる。