Perspective
疾患に関する尿の多重モニタリングを可能とする質量がコード化された人工バイオマーカー
Nature Biotechnology 31, 1 doi: 10.1038/nbt.2464
複雑な疾患の臨床管理ではバイオマーカーが重要性を増しつつあるが、内因性分子に依存するため、新規バイオマーカーを発見する能力には限界がある。今回我々は、質量がコード化されたナノ粒子結合型ペプチドからなり体外から投与する「人工バイオマーカー」を開発した。これは、尿の非侵襲的モニタリングを行うためにヒトの疾患および生理の本来的特徴に影響を与えるものである。このプロテアーゼ感受性の薬剤は、「疾患部位を標的とする」、「調節異常のプロテアーゼ活性を検出する」、および「質量がコード化されたレポーターを宿主尿中に放出して質量分析法による多重検出に供する」という3つの機能をin vivoで発揮する。肝線維症およびがんのマウスモデルにより、この薬剤は、肝臓の線維症および消散の侵襲的なコア生検によらない非侵襲的モニタリングを可能とし、現在臨床で使用されている血中バイオマーカーとの比較でがんの早期発見を大幅に改善することが示された。尿の多重モニタリング用の人工バイオマーカーを作製するこの方法は、ほかの病態生理学的処置および医療現場での診断に広く応用可能と考えられる。