Perspective

酵母ミトコンドリアの代謝経路の区画化で分岐鎖アルコールの生産量が増加する

Nature Biotechnology 31, 4 doi: 10.1038/nbt.2509

出芽酵母による目的化合物生産を改善する試みは、主として細胞質酵素の組み換えまたは過剰発現によるものであった。我々は、代謝経路をミトコンドリアに集中させると、細胞質で同じ経路に関与する酵素を過剰発現させた場合以上に生産量が増加することを示す。エールリッヒ経路をミトコンドリア内に区画化すると、この生合成経路の始めの3段階のみに関与する酵素の過剰産生株との比較でイソブタノールの生産量が260%増加したが、細胞質中の同経路の過剰発現では収量の増加が10%にとどまった。改変株の細胞分画により、エールリッヒ経路の酵素をミトコンドリアに集中させることで、局所的酵素濃度が高まることが明らかにされた。区画化のそれ以外の利点としては、中間体の利用可能性の増大、ミトコンドリア外に中間体を輸送する必要の排除、および競合経路への中間体流出の減少なども考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度