Perspective
ヒト腸内マイクロバイオームの標準遺伝子の統合的カタログ
Nature Biotechnology 32, 8 doi: 10.1038/nbt.2942
ヒト腸内マイクロバイオームの解析は、標準遺伝子のカタログに依存することが多い。既存のヒト腸内マイクロバイオームのカタログは、単一コホートの検体、または標準ゲノムもしくはタンパク質配列に基づくため、全世界のマイクロバイオームの多様性は網羅されていない。今回我々は、ヒト腸管メタゲノミクス(Metagenomics of the Human Intestinal Tract;MetaHit)計画で新規に配列が明らかにされた249検体と、過去に配列が明らかにされている1018検体とを組み合わせ、過去の遺伝子カタログで利用されたコホートの3倍以上の規模を持つ3大陸のコホートを作り出した。これによって我々は、987万9896遺伝子からなる統合的な遺伝子カタログを作製した。このカタログは、多くの腸内微生物のほぼ完全な遺伝子セットを含み、質も過去のカタログと比較してはるかに高い。このカタログを用いて中国人およびデンマーク人の検体群を解析することにより、国に特異的な腸内微生物の特徴が明らかにされた。この大規模なカタログは、腸内マイクロバイオームのメタゲノム、メタトランスクリプトーム、およびメタプロテオームデータの定量的特性評価を促進し、ヒトの健康および疾患に関する集団間の差を明らかにすると考えられる。