遺伝学:ヒトパンゲノムの概要参照配列が初めて発表される
First draft of a human pangenome
doi: 10.1038/s41586-023-05896-x
doi: 10.1038/s41586-023-05896-x
doi: 10.1038/s41587-021-01195-w
再生医療は、臨床現場で現在行われている造血幹細胞療法から、ヒト胚性幹細胞やヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)に由来する治療法まで、多岐にわたっている。米国では現在、10種類の細胞療法が実用化されており、造血系再構築(HemacordやDucordなど)から、歯肉歯槽粘膜の外傷の治療(Gintuit)や軟骨修復(Carticel)、果ては重度のしわを修復する美容整形(LaVive)にまで用いられている。
細胞療法は、他の多くの生物医学的領域と比較して、実用化までの道のりが複雑である。異論の少ない成体幹細胞療法でも、スケールアップには革新的な発想と新しい送達系が要求される(Commentary, p. 729)。多能性幹細胞に由来する治療法の開発はさらに厳しい課題に直面しているが、いくつかの研究グループが、加齢黄斑変性、不応性血小板減少症、表皮水疱症(Nat. Biotechnol. 31, 483-486, 2014)、糖尿病などの疾患に関して、治療法の臨床化を推進している。再生医療による治療法の臨床化では、規制問題(Podcast参照、Correspondence p. 721)以外にも、倫理上の問題や政治的問題(Correspondence, p. 724)、法的な問題(Patent Article, p. 742、Patent Table, p. 749)が関係する。そうした難しい状況にもかかわらず、細胞療法製品の実用化を促進するための具体的な計画が、各国で立ち上げられている(Feature p. 736)。
研究界では、細胞生物学と工学との交点での進歩を通じて、研究の進展が加速している。移植細胞の免疫拒絶の問題は、全ての同種細胞療法の重要な一側面である。臨床現場での数十年にわたる実質臓器と造血細胞の移植の経験からは、免疫抑制に関する重要な教訓が得られており、特に細胞療法への応用を念頭においた新しい寛容誘導戦略の開発が進められている(Review, p. 786)。細胞療法が改良されるかどうかは、患者に移植した細胞の運命が明らかにされるかどうかにかかっている。Frank、Murryらは、細胞の運命と再生の程度を評価する臨床イメージング法の能力と限界を総説している(Review, p. 804)。取り扱いの難しい細胞の場合には、従来の臓器全体の移植の方が、細胞にとって本来の微小環境が保持されるため、細胞療法と比較して容易である。3Dバイオプリンティングは、従来の組織工学技術のハイテク版であり、移植可能な組織や臓器を実験室で作製し、深刻なドナー臓器不足に対処することを目指している(Review, p. 773、News Feature, p. 716)。
一部の疾患については、低分子、タンパク質、もしくは生体材料を用いて、休眠した再生の分子経路を活性化させるか、または新たな経路を導入することにより、細胞療法が完全に回避される可能性がある。Wattらは、幹細胞ニッチの操作による再生増強の見通しを検討している(Review, p. 795)。 発生と疾患のin vitroモデルを作製する技術の革新により、組織再生の研究とそうした過程を制御する薬剤の探索が促進されている。微小流体工学による「臓器オンチップ」は、細胞のパターン形成と微小環境条件の制御が従来の細胞培養法以上に正確であるため、臓器レベルの機能の再現が有望視されている。再生医療では、薬剤の試験と臓器の発生・生理・病理研究への応用が期待されている(Perspective, p. 760)。また、Ken Garberは、疾病機序の研究と薬剤候補のスクリーニングを目的に、ニューロン様細胞とグリア様細胞を作製する手段として患者由来のiPS細胞株の利用を検討している(News Feature, p. 712)。社説は、治療法の多様性が再生医療の可能性を実現する上で重要だと論じている(Editorial, p. 699)。
doi: 10.1038/nbt.2994
doi: 10.1038/nbt.2977
doi: 10.1038/nbt.2983
doi: 10.1038/nbt.2984
doi: 10.1038/nbt.2995
doi: 10.1038/nbt.2989
doi: 10.1038/nbt.2958
doi: 10.1038/nbt.2960
doi: 10.1038/nbt.2978
doi: 10.1038/nbt.2993
doi: 10.1038/nbt.2971
doi: 10.1038/nbt.2973
doi: 10.1038/nbt.2970
doi: 10.1038/nbt.2975
doi: 10.1038/nbt0814-701
doi: 10.1038/nbt0814-703
doi: 10.1038/nbt0814-704a
doi: 10.1038/nbt0814-704c
doi: 10.1038/nbt0814-704b
doi: 10.1038/nbt0814-705
doi: 10.1038/nbt0814-706
doi: 10.1038/nbt0814-707a
doi: 10.1038/nbt0814-707c
doi: 10.1038/nbt0814-707b
doi: 10.1038/nbt0814-708
doi: 10.1038/nbt0814-709b
doi: 10.1038/nbt0814-709d
doi: 10.1038/nbt0814-709f
doi: 10.1038/nbt0814-709a
doi: 10.1038/nbt0814-709c
doi: 10.1038/nbt0814-709e
doi: 10.1038/nbt.2990
doi: 10.1038/nbt.2976
doi: 10.1038/nbt.2986
doi: 10.1038/nbt.2962
doi: 10.1038/nbt.2982
doi: 10.1038/nbt.2985
doi: 10.1038/nbt.2939
doi: 10.1038/nbt.2950
doi: 10.1038/nbt.2942
doi: 10.1038/nbt.2974