Perspective
SEQCコンソーシアムによるRNA塩基配列解読の正確性、再現性および情報量の包括的評価
Nature Biotechnology 32, 9 doi: 10.1038/nbt.2957
本論文では、米国食品医薬品局が総括するSEQC(Sequencing Quality Control;塩基配列解読の精度管理)プロジェクトの初期の成果を紹介する。我々は、標準配列が組み込まれた標準RNA試料を用いて、イルミナ社HiSeq、ライフテクノロジーズ社SOLiD、およびロシュ社454の各プラットフォームを複数の研究室で試験することにより、ジャンクションの発見および差次的発現のプロファイリングに関するRNA塩基配列解読法(RNA-seq)の性能を評価し、相補的指標を用いてマイクロアレイおよび定量PCR(qPCR)データとの比較を行った。アノテーションされていないエキソン・エキソン接合部が全ての塩基配列解読深度で見いだされ、その80%以上がqPCRで検証された。特別なフィルターを用いると、相対的発現量の測定結果は全施設および全プラットフォームで正確かつ再現可能であることがわかった。これに対し、RNA-seqとマイクロアレイは正確な絶対的測定値を示さず、qPCRを含め、試験した全てのプラットフォームで遺伝子特異的な偏りが観察された。測定性能は使用するプラットフォームおよびデータ分析パイプラインに依存し、転写レベルのプロファイリングは差が大きかった。1000億本を超えるリード(10 Tb)によって構成される完全なSEQC データセットは、臨床および規制の場でのRNA-seq分析の評価にまたとない資源を提供する。